Q3−3 「差押え」という言葉をよく聞きますが、具体的にはどのようにすればよいのですか?

A3−3

 労働債権について、いわゆる「差押え」をする方法は、大きく分けて2種類あります。ここではそれぞれについて概要を説明します。

  強制執行 一般先取特権の実行
制度の
概要
 裁判の確定判決等(「債務名義」といいます。)に基づいて、債権を回収する手続です。  一定範囲の労働債権(注-1)には「一般先取特権」という担保物権(注-2)が与えられています。この権利に基づいて、債権を回収する手続です。
手続の
概要
 事前に、裁判所に判決等の書類を提出して、強制執行できる旨の文章(「執行文」といいます。)をつけてもらうことが必要です。(但し、例外として執行文の不要な判決等もあります。)  一般先取特権の存在(つまり、未払賃金があるということ)を証明する文書が必要です(注-3)。(その証明にどれだけの文書が必要であるかは裁判所が判断します。)
申立て
の場所
 原則として相手方の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てます。
必要な
もの・
手数料
 申立書、判決等の書類、手数料(3,000円)分の収入印紙等が必要です。  申立書、一般先取特権の存在を証明する文書等の書類、手数料(3,000円)分の収入印紙等が必要です。
その他  何を差し押さえるのかを指定しなければなりません。(差し押さえられないものもあります。)

(注-1) 一般先取特権が与えられている範囲は、株式会社・有限会社・相互会社については賃金等の全額(商法第295条。退職金についても全額が含まれると解されています。)、それ以外については賃金等のうち最後の6か月分(民法第308条。「最後の6か月分」とは、6か月分の給料に相当する額をいい、これは退職金についても同様です。)です。
(注-2) 「担保物権」とは、債権が履行されなかった場合に、債務者等が所有する一定の物や権利が有する価値から、優先的に債権の履行を受けることができる権利です。例えば、抵当権や質権は担保物権の一種です。
(注-3) 例えば、過去の給与明細書、社内規程類(就業規則や賃金規程)等が必要とされています。なお、強制執行の場合と違い、債務名義は不要なので、事前に裁判等を起こす必要がありません。
 この他、「仮差押え」という手続がありますが、これは、裁判等で争っている間に相手方の財産が散逸してしまうおそれがある場合に、相手方の財産を仮に差し押さえる手続ですので、上記に挙げた2種類の手続とは性質が異なります。